| 東野圭吾著『さまよう刃』を読み終わりました。 さまよう刃というか、さまよう弾丸、或いは銃身ですよね。 いやまあ、刃にして正解だとは思いますけれど。。。
少年や心神耗弱者(刑法第39条)が起こした犯罪に対する量刑、その扱いについては、以前から意見が分かれるところだと思います。 犯人が少年(未成年)であることや、高潔な人格を持つ被害者遺族(本村洋氏)が復讐の気持ちを語る部分などで光市母子殺害事件を連想させられたりもしましたが、物語のテーマ自体はそんなに目新しいものではありませんね(ノンフィクションの手記やレポートの方が魂を揺さぶられる、考えさせられる。下記リンク参照)。
そして殺人者は野に放たれる 日垣隆 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101300518/pp0c-22/ 心にナイフをしのばせて 奥野修司 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163683607/pp0c-22/
ただやはり、現場で動く司法警察員らの葛藤(少年法の不条理)はよく描かれていて、最後の仕掛けは相変わらず意表をつかれるところだったと思います。 あと、携帯電話は電源を切るだけでなく、電池ごと外さないと警察に位置情報を知られてしまうことは、今ではニュース等々でよく知られた事実であるにもかかわらず、そのことに一度も触れられなかったのは残念ですね(恐らく初出の時点で作者も編集も知らなかったと思われる)。 さらに、キャプチャーならともかく、娘がレイプされている動画をその父親に確認させた警察の対応も非現実的に感じました。
>>29 白夜行>>手紙>>>>赤い指>>秘密>>容疑者Xの献身>>幻夜>>ゲームの名は誘拐>さまよう刃>トキオ>>>>使命と魂のリミット>>>>>>>>レイクサイド>>探偵ガリレオ>>悪意
評価としましては10点満点中8.5点といったところでしょうか。 私が文章で泣くのは特攻隊員らの出撃前の手紙(遺書、辞世の句)だけであり、小説を読んで泣いたり陵辱の描写で気持ち悪くなったりすることはないので、あとはエンターテイメントとして面白いかどうかでの判断(採点)になります。
本はハードカバーであれ文庫本であれ、いつもは大抵2、3回に分けて読了となるのですが、今回のように面白い小説はついつい一晩で読み切ってしまいたくなるから困ります^^
さまよう刃 東野圭吾 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022579684/pp0c-22/ |